沢木耕太郎の深夜特急

 10年ぐらい前、テレビで沢木耕太郎原作「深夜特急」という番組があった。
大沢たかおが、沢木の旅した東南アジアからインド・アフガニスタン・イランからヨーロッパまでを演じている。
 最初は香港だ。この街には、世界のヒッピーの定宿として有名な宿がある。
その名は、重慶飯店(チュンキン マンション)。
古びた高層マンションの10数階にその安宿はある。見るからにチープなパイプベットが狭いフロアーにびっしり並んでいる。
 泊まっている連中ときたら、みるからにやばそうなヒッピーたち。
 
 
 僕は、娘とお母ちゃんとそのテレビを偶然にも観ていた。
チュンキン・マンションがうつった時、何か懐かしい風景を観ているような気がした。
 突然、涙がでてきた。そうだ。僕もこのチープな宿を定宿のしていたのだ。
そうだ、どう見てもやばそうな一人だったのだ。この僕も。
 懐かしさでもない。哀しい思い出でもない。
よく分からないけど、ただただ涙が止まらなかった。まだ小学生だった娘は、父親の泣き顔を初めてみて驚いたようだ。
 今日、娘からメールをもらい、ふと「深夜特急」のことを思い出した。

 
 僕がアジアを旅してた頃の皆の定宿は・・・・
バンコク(マレーシア ホテル・楽宮旅社・タイソングリート)
ラングーン(YMCA) ペナン(大安旅社)カトマンズ(フリークストリート)
ボンベイ救世軍)など・・・