僕の先生(日本学園 風間道太郎先生)

 僕が高校に入学したのは1969年。全国的に吹き荒れた学園闘争も下火になった頃でした。入った高校は、まだまだ元気な先輩たちが赤や黒や青のヘルメットを被り、校内はもとより、街頭へも繰り出していました。そんな先輩たちの色に染まった僕も一年生を二度もやるはめに・・・・。すったもんだの末、転校。今度の高校は、私立でしたけど、いたってリベラルで僕のような訳アリな高校生を全国から受け入れているような高校でした。
 東京・世田谷にありました。駅は明大前でしたので、よく授業をサボって下北沢のジャズ喫茶へ行ったり、明大前で映画を観たり、新宿や渋谷で遊んだりしてました。

 そんな高校に老紳士がおりました。名前は、風間道太郎。風格のあるお爺さん。みんな「お爺ちゃん」と呼んでおりました。1901年生まれ。肩書きは講師で世界史と第二外国語(ドイツ語)を教えていました。口癖は「僕の世界史は大人になっても必ず役に立つから、ノートをとりなさい」でした。近代史・現代史(西洋史東洋史共)は、大学に入ってから本当に役にたちました。

 この高校を卒業してから知ったのですが、風間道太郎先生は本もいろいろ書かれています。

 尾崎秀実伝(法政大学出版局、1968)

 暗い夜の記念ー戦中日暦(未来社、1981)

 彼が出会った少年たちー高校教師25年(れんが書房新社、1983)

 憂鬱な風景ー人間画家・内田巌の生涯(影書房、1983)

 キネマに生きる 評伝・岩崎 昶(影書房、1987)


 もう20年も前、巷談舎をオープンした日に風間先生から祝電と共にフランス産の
 ワインが贈られてきた事を、時々思い出します。