好きな人

 暇な店なので、店の裏で本を読んでることは、いたって日常的です。ちくま日本文学全集金子光晴太宰治坂口安吾は、僕の定番です。わずか数ページの太宰の「満願」と言う超短編は何度読んでも感じるものがあります。金子光晴は、「ねむれ巴里」も「どくろ杯」も好きだけど、やはり77歳の時に出した「人非人伝」(大光社)が一番好きな本です。

女というものの深層を見つめつづけたこの詩人。明治でもなく昭和でもない「大正」の匂いを感じる、僕にとっては今でも偉大な御仁です。