夕べは金子光晴だった

 『ラブレター』という映画を見た。金子光晴の晩年をモデルとしてるとか・・・・。
僕がマレーシアのバトパハへいったのは、たしか1978年だった。バンコクの本屋で買った金子の「マレー蘭印紀行」という文庫本に感化され、その街へ。泥水いっぱいのセブロン河。昼の日中から街の若い衆と呑む・打つの日々。街の周囲は、熱帯の樹木が鬱蒼と繁っていたのを、かすかに記憶している。イッポーもマラッカも僕にとっては、金子を介しての街だ。                         

      マレー半島の旅は、すべて金子光晴だった。

                                          
金子光晴の事や僕自身のあの頃の営みや昔の友達のことをとりとめもなく思い出していたら、映画は終わっていた。