深夜特急 (2)

 バンコクの喧騒になれるには、時間がかかります。なれて来ると、この街の騒がしさも
快感とまでは言わないけれど、それはそれで適度の刺激くらいに思えてくるんです。そんな気
持ちになれたら、人間として一皮剥けた感じ・・・・。
 タイで一番馴染んだ地域は南部です。スラタニ・ソンカラ、そしてサムイ島。誰もいな
い海で、独り泳いだものです。

 スラタニから南下してマレーシアへ。深夜特急でもマラッカの夕日のシーンがありまし
たけど、この僕も行きました。マラッカ海峡は、石油を積んだ大型タンカーが一隻、二隻
三隻・・・・・。そして次は、金子光晴の著書「マレー蘭印紀行」で有名なバトパハ。ど
よんとした熱帯特有のセブロン河。街の食堂で半日ただぼーっとしてビール飲んでました。

 僕が日本を離れたのは、1977年の春。3月に大学を卒業。このまま、仕事に就く気になれ
なかったのが出国の動機です。75年に北米を旅してたので、不安はなかったです。旅は78年
までつづきました。