10代の頃からやきものは身近でした

 高校時代の友S君は、大学へは行かず東京クラフトデザイン研究所という専門学校へ入学しました。僕が1975年アメリカを旅していた頃、サンフランシスコ郊外のバークレーには沢山の陶芸教室がありました。また、陶芸に関する本も沢山出版されていました。重たい本を持って(S君へのアメリカ土産)彼が(確か)助手をしていた、横浜・菊名の学校を訪ね、一晩泊めてもらいました。バークレーでも轆轤に座りましたけど、菊名にあった学校では、夜中まで轆轤をS君に習ったのを、今での鮮明に覚えています。
 その彼が陶芸家として独立してからは、何度か買いました。今から思うと、けっして安くはなかったその器は、(阪神大震災でも壊れず)今でも我が家の食器棚の中に置かれています。
 15歳の時、S君と東京の下町の高校で出会ってなければ、たぶん一生こんな仕事をすることなど、なかったと思います。彼は、やきものの面白さや大変さを教えてくれた最初の人です。